一気に色んなものが込み上げて、泣きそうだったのを見せたくなくて、上着の下衿をつかんで榊の胸元に顔を埋めた。
「カラダ治しに行くのがあんたの仕事だからね?最重要任務なんだからね?医者の言うこと聞いて、ぜったい無理したり、痛いの我慢しないでよ?」
「しねぇよ・・・」
「言葉だって通じないんだから、困ったらカッコつけないで誰かに助けてもらいなさいよ?榊はいつも頼らなさすぎなんだからっ」
「ほっとけ」
「紗江が」
生きて帰ってこなかったら許さないからね。・・・が、喉元までせり上がったのを飲み下し、咄嗟に嘘ついた。紗江にはまだ伝えてない。
「お土産忘れたら許さない・・・って」
「・・・おう」
「それから、」
先が続かない。顔見たら言いたいことが山ほどあったのに。はちきれそうになってるものに圧し潰されちゃって、どうしてもカタチになんない。
「臼井」
黙ってすがるあたしの耳に低く。
「親と縁切って出てきたことも、カタギと縁切ったことも、俺はひとつも後悔してねぇよ」
訊いてないことを自分から話す男じゃなかった。夜の帳に包まれるみたいな、そんな静かな声するなんて知らなかった。
「・・・惚れた女にテメェをくれてやって後悔するかよ」
「カラダ治しに行くのがあんたの仕事だからね?最重要任務なんだからね?医者の言うこと聞いて、ぜったい無理したり、痛いの我慢しないでよ?」
「しねぇよ・・・」
「言葉だって通じないんだから、困ったらカッコつけないで誰かに助けてもらいなさいよ?榊はいつも頼らなさすぎなんだからっ」
「ほっとけ」
「紗江が」
生きて帰ってこなかったら許さないからね。・・・が、喉元までせり上がったのを飲み下し、咄嗟に嘘ついた。紗江にはまだ伝えてない。
「お土産忘れたら許さない・・・って」
「・・・おう」
「それから、」
先が続かない。顔見たら言いたいことが山ほどあったのに。はちきれそうになってるものに圧し潰されちゃって、どうしてもカタチになんない。
「臼井」
黙ってすがるあたしの耳に低く。
「親と縁切って出てきたことも、カタギと縁切ったことも、俺はひとつも後悔してねぇよ」
訊いてないことを自分から話す男じゃなかった。夜の帳に包まれるみたいな、そんな静かな声するなんて知らなかった。
「・・・惚れた女にテメェをくれてやって後悔するかよ」



