手を繋いで、君と前を向く。

──やばい。やばい。やばすぎる。

病院からの帰り道、俺の頭の中はそれしか無かった。

とにかくやばい。やってしまった。

走って、とにかく走ってたどり着いたのはあの神社。

その境内まで行って、息を整える暇も無くその場にしゃがみ込む。


「俺……何して……」


まるで行かないでと言わんばかりに裾を掴まれて、涙目で上目遣いで見つめられて。

もう我慢なんてできなかった。

気が付いたら潮路の頬にキスをしていて、あまりの恥ずかしさに逃げるように病室を飛び出していた。

気持ちを伝えることもしていないのに、まして潮路は今治療中で、病気に打ち勝とうと頑張っている最中なのに。

まだ移植してから一ヶ月も経ってない。今は潮路にとって何よりも大切な期間なのに。

危うく口にするところだったのを、ギリギリのところで理性が働いた。

とは言え、いくら頬でもキスはダメだろ。

そこから何か風邪がうつったらどうする。

俺の勝手な気持ちの暴走で、もしかしたら潮路を危険に晒したかもしれない。何より傷付けたかもしれない。


「いや、絶対ダメじゃん……バカかよ俺は……何やってんだよ……」


潮路が俺を嫌っていないことはなんとなくわかる。

だけど、そもそもいきなりキスされたら誰だって嫌だろ……。

嫌だったらごめんじゃねーよ。それなら最初からすんなよ。


「はぁ……ほんっと情けねぇ……」


こうやって後悔して落ち込んでいる自分がただただ情けない。