手を繋いで、君と前を向く。

「潮路」

「……うん」

「潮路が寂しいって言うなら、会いたいって言うならどんな時間でもいつでも飛んでくる。無理な時間ならすぐに電話する。それもダメなら夜通しずっと連絡してやる」


必死に涙を堪えるわたしに、まるで小さな子どもに言い聞かせるように。


「……だから、もう一人で泣くな」


そう言って今度は両手を広げられて、わたしはその胸に飛び込むように抱きついた。

わんわんと泣きじゃくるわたしに、九条くんは言葉通りずっと寄り添ってくれた。


「どうしてっ……九条くんは、こんなにわたしに優しくしてくれるの?」

「え?」


ずっと疑問だった。

どうしてこんなにも気にかけてくれるのか。

どうしてそんなに優しいのか。


「わたし、九条くんにこんなに良くしてもらえるようなこと、何もしてないのにっ……」


涙と一緒に叫ぶそうに言うと、九条くんはわたしを抱きしめる力をほんの少しだけ強めた。


「……俺が、変わるきっかけをくれたから」

「……え?」


聞き返した時、面会時間終了を知らせる音楽がスピーカーから鳴る。


「……時間だ。また来る」

「あ、九条くんっ……」


するりと離れていく身体。それがどうしようもなく寂しくて、思わず九条くんの服の裾を掴む。

……行かないで。もう少しだけ、そばにいて。

そんな思いで見上げると。


「……っ、やばい。そんな顔されたら止まんなくなるだろっ……」

「え……?」


次の瞬間、九条くんがわたしの元に戻ってきて。


「くじょ……っ……」


頭を引き寄せられて、頬に温かいものが触れる。