手を繋いで、君と前を向く。

愛ちゃんも帰り、お母さんも仕事に向かうためいなくなった夕方の病室。

つい数時間前までの楽しい時間が嘘みたいに急に静かになった気がした。

移植した日から、九条くんには会えていない。

でもずっと無菌室にいたし、来てほしいなんて言う勇気はなかった。

今の病室に戻ってきてすぐに連絡はしたけれど、それ以降は特にやりとりもしていない。

九条くんに会いたい。

その気持ちはあれど、素直にそれを言葉にすることができていなかった。

だけど今、急に"一人"だということを突きつけられたような気がした。

それがひどく怖く感じて、思わずスマホを手に取り、九条くんに連絡してしまう。


"さみしい"


たったそれだけだったけど、その四文字を送るとすぐに既読がつく。

そして


"すぐ行く。待ってろ"


とだけ返事が来て驚いた。

時計を見ると、あと三十分ほどで面会時間は終わる。

それなのに、今から来てくれるの……?

わたしが寂しいって言ったから?

そんなの、嬉しすぎて泣いちゃいそうになるじゃん……。

気持ちがたかぶって、胸が張り裂けそう。