手を繋いで、君と前を向く。

「ははっ、本当にありがとう。あの時は助かりました。無理言ってごめん」

「雪菜が頼み事なんて珍しいと思ってすぐ頷いたけどさ、九条くん、最初わたしのことかなり警戒してたのに雪菜の連絡先って言った瞬間すごい勢いで取ってってびっくりしたよ」

「え、そうだったの?」

「うん。"どうしてこれを俺に?"って言うから、雪菜に渡してって頼まれたって言ったら"ありがとう"って。わたし、九条くんにお礼言われると思ってなかったから意外すぎて」

「ふふっ、わかる。九条くんってギャップあるんだよね」


見た目は不良そのものなのに、実際はすごく優しくて。

わたしのお母さんに対してもだけど、すごく礼儀正しい人。

ケンカもするししょっちゅう怪我してるし、不良には違いないんだろうけど。

九条くんのこと、知れば知るほど新しい一面が見えてきて楽しい。


「……雪菜、なんか明るくなったね」

「え?」

「正直、もっと病気のことで落ち込んでると思ってて。わたし、雪菜になんて声をかけたらいいかずっと悩みながらここに来たの。だけど、そんなの必要ないくらい幸せそうでびっくりした」

「そう、かな」

「うん。わたし、雪菜が幸せそうで嬉しい。安心したよ。それに、九条くんのこと話してる時の雪菜、すごく可愛い。最初は九条くんのこと信用してなかったけど、雪菜見てたらわかる。九条くん、案外良い人なんだね」


愛ちゃんはそう言って、わたしを抱きしめてくれる。