手を繋いで、君と前を向く。

ふと目が覚めると、看護師さんの姿が目に入る。

そして無菌室の外にお母さんがいるのが窓越しに見えた。


「……お母さん」


呟くと、看護師さんが


「雪菜ちゃん、目が覚めた?良かった。今先生呼ぶね」


と慣れた手つきでナースコールを押す。


「あ、はい」

「よく頑張ったね」


ふんわりとした笑顔に安心していると、お医者さんが入ってきてわたしの様子やいろいろな数値を確認する。

終わると無菌室を出て、お母さんと何やら話をしていた。

今日はそのまま様子を見ることになり、面会時間も終わることからお母さんも帰ることになった。


「実はね、雪菜ちゃんが起きるちょっと前まで、那智くんも来てくれてたのよ」

「え?」

「用事があるからってすぐ帰っちゃったみたいだけど、また来てくれると思うよ」

「……そうですか」


看護師さんの言葉に、じんわりと心が温かくなる。

今すぐに九条くんに連絡したいところだけど、この部屋じゃスマホは使えないからしばらく我慢するしかない。

早く病室に戻って、早くこの気持ちを伝えたい。

九条くんに引かれてしまうかもしれないけど。でも、後悔したくないから。

愛ちゃんに言われた言葉を思い出す。


"気持ちを伝えないままで、後悔しない?"


「──愛ちゃん。わたし、後悔しないように頑張るよ」


そっと呟いた。