手を繋いで、君と前を向く。

「って、それはそうとして、わたしが言いたいのは違くって」

「なに、どうしたの」

「わたしね?その……九条くんに初めて会ったからどんな人なのか噂でしか知らなくて。でも、実際見たら笑ったところがすごくかっこよくて……びっくりしちゃって……。キモいこと言っちゃって、わたしの方がヤバいやつだったんだよ……どうしよう愛ちゃん、絶対変なやつだと思われた……!」


かっこいいって言っちゃったし、それを誤魔化すために変なこと口走っちゃった気がするし……。

ああもう今思い出しても自分が嫌になる!

愛ちゃんは今度こそ言葉も出ないようで、わたしの肩にそっと手を置く。


「……目つけられてないといいね……」


やっぱりそうなるよね……。

ああああどうしよう!絶対キモくてヤバいやつだと思われてるよー!

せっかく怒らず笑ってくれてたのに思わず逃げちゃったし……。


「ま、過ぎたことはどれだけ悩んでも仕方ないし。もう諦めなさい」


愛ちゃんにそう言われて、力無く頷いた。