手を繋いで、君と前を向く。

「じゃあ始めるね」

「はい」


移植と言っても、わたしは点滴を受けるだけのようなもの。

ただ、免疫の関係で無菌室での移植となるためしばらく面会も禁止になった。

点滴だけと言っても、今までの抗がん剤とは全く違うものだから、怖くてたまらない。


「雪菜ちゃん。大丈夫だからね。頑張ろうね」

「っ、はい」


九条くんからもらったお守りは結局持って来れなかったけど、思い出して深呼吸をする。

うん、大丈夫。頑張ろう。

あの日面会してから、九条くんは毎日のように病室に足を運んでくれていた。

昨日も"行くところがあるから"とすぐに帰ってしまったけれど、来てくれただけで嬉しかった。

今日も、朝に


"大丈夫だから。潮路はなにも心配しなくていい。きっとうまくいくから"


と送ってくれていて、そんな些細な言葉が嬉しい。

移植の間、わたしはずっと九条くんのことを考えていた。