手を繋いで、君と前を向く。

フラフラと家に帰り、洗面所の鏡を見つめる。


「ははっ……また潮路に怒られるな。ケンカすんなって」


でももう、ケンカはやめたから。

潮路に引かれてしまうだろうか。

潮路の隣に立ちたくて、悪ぶってケンカに明け暮れるのをやめようとしてるだなんて。

移植すると聞いてから、ケンカを売られても一切手を出していないこと。

今まで怪我をさせてしまった奴らには、謝りに行ったこと。

転校するきっかけになった、私立の中学の教師にも謝りに行ったこと。

今の学校でも、初日に殴ってしまった教師に謝りに行ったこと。少しずつではあるけれど真面目に通って授業にも出るようにしていること。

それを知ったら、笑われてしまうだろうか。

らしくないことしてどうしたのって、引かれてしまうだろうか。

今まで俺がしてきたことは許されるとは思っていない。
それでも構わない。

何度でも謝りに行くし、もう二度とケンカはしない。

そうでもしないと、俺はもう変われないから。

今を逃したら、もう無理だと思うから。

一生クズのままになってしまうから。


「……もう、手当してもらうこともないのか」


それが、少し寂しいと思ってしまう自分に笑った。

全身痛くて立ち上がることもままならないのに、気分は晴れやかで。


「きっと、大丈夫」


きっと移植は成功する。きっと潮路は良くなる。

どこか、そんな自信に満ち溢れていた。