手を繋いで、君と前を向く。

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潮路と久しぶりに会ってから一週間。


「……移植、明日か」


スマホのカレンダーを見て、呟く。

俺の腕の中に擦り寄って甘えてきた潮路を思い出すと、胸がいっぱいで思わずにやけてしまいそうになる。

……可愛かった。

素直にそう思うのは、潮路のことを特別に想っていると自覚したからだろうか。

潮路は、俺に苦しんでいる姿を見られたくなかったと言っていた。

引かれると思ったから、と。

そんなわけないのに、どんな姿を見ても引くわけないのに。

だって、髪の毛が抜けたり吐いているのはあいつが治療を頑張っているからで、自分の病気と向き合って戦っている証拠だ。

それが、引くわけない。

かっこよくてすごいことじゃないか。

涙を堪えて笑うニット帽姿の潮路が、愛おしくてたまらない。

こんな感情を自分が抱くこと自体不思議で仕方なかったけど、潮路のことを"好き"だと気が付いてしまえば、全てが納得できる。

自分のことは全部後回しで、人のためにってお節介焼いて。

それなのに一番大変なのは潮路自身だなんて、本当に変なやつだと思う。

人のこと気にしてる場合じゃねぇだろ。俺の手当なんてしてないで、もっと早くに病院に行けなかったのか。

そんなことを思ってしまう。

でもそんな潮路だからこそ、好きになったのかもしれない。

今まで出会ったことがないタイプで、気になってしかたなかった。

いつから好きになったかなんて、もうわからないけど。

もしかしたら、出会ったあの日からだったんじゃないかと思っている。


そんな潮路は、明日骨髄移植を受ける。

その内容は俺にはよくわからない。だけど、もう潮路には他に治療法がほぼ無いらしい。

よくなってほしい。どうか、移植とその後の治療がうまくいってほしい。

それを願いに、俺は今日も潮路の見舞いの後に隣町にある神社に行く。