手を繋いで、君と前を向く。

「……眠い?」

「うん……なんだろ……なんか、急に眠くなってきて……」


一定のリズムで頭を撫でてくれるからだろうか。それとも、九条くんの腕の中が驚くほどに安心できるからだろうか。

ここ数日、治療への不安が強すぎて全然眠れていなかった。

その眠気が、一気に襲いかかってくるように瞼がどんどん重くなっていく。

九条くんはそんなわたしを見て、身体をベッドに倒してくれた。

布団をかけてくれて、


「しばらくここにいるから。少し寝るといい」


もう一度優しく頭を撫でてくれる。


「でも……せっかく、九条くん来てくれてるのに……」


ようやく会えたのに。やっと直接会えたのに。

ここで眠ってしまうなんて、失礼だしもったいない。

もっと話したい。もっと九条くんの話も聞きたい。

でも、そんなわたしの気持ちとは反対に、とうとう瞼が閉じてしまい、もう開く力すら働かない。


「そんなの気にしなくていいから。また来るし。それより眠れる時に寝ないと」

「うん……九条くん」

「……ん?」

「手、……ぎゅってしてて、くれる……?」


もう眠気に勝つことはできなさそう。それならば、少しでも安心して眠りたい。

手の温もりと、このお守りと。

それだけで、わたしは安心できると思うから。


「……わかった」


声で、頷いてくれたのがわかって微笑む。

わたしの手を包んでくれた九条くんの大きな手。

それは、声と同じくらい優しくて、温かくて。

幸せって、きっとこういうことを言うんだ。

そう、思った。