手を繋いで、君と前を向く。

「それで、移植って……」

「うん。骨髄移植を受けることになったの。抗がん剤があんまり効いてくれなくて。他のも試そうかってなったんだけど、わたしの体力があるうちに移植に踏み切った方がいいんじゃないかってなって」

「そうか」

「でも移植って言っても、わたしは点滴を受けるだけみたいなものなんだ。ただ、副作用とかもかなりひどいみたいで。それに、それでも治らなかったらどうしようとかいろいろ考えちゃって。今は……あんまり眠れてないんだ」


そう言うと、九条くんは立ち上がってわたしの頭を引き寄せる。

優しく、力なんて入っていないんじゃないかってくらい、そっと。

その温かい手のひらでポンポンとリズムよく頭と背中を撫でてくれて、それが心地良くて安心する。

こんなにも近い距離で、心臓はうるさく鳴っているのに落ち着くだなんて不思議。

すり寄るように腕の中に頭を捩じ込むと、九条くんは一瞬動きを止めたけれどすぐにまた手を動かす。


「……苦しくなったら、そのお守りを俺だと思って」

「え?」

「移植の間。まぁ、近くに置いておけるのかはよくわかんないけど」

「……うん。聞いてみる。このお守りがあったら、わたし頑張れる気がする」


サイドの棚の上に飾ってあるお守り。それを手に取り、親指で撫でる。

たとえそばに置いておけなくても、このお守りが一緒にいてくれると思えば少し不安が薄れる気がした。

そのまま九条くんの腕の中でしばらく無言でお守りを見ていると、なぜか段々と頭がぼーっとしてくる。