手を繋いで、君と前を向く。

「雪菜ちゃん。那智くん来たけど……今日もやめとく?」


朝から天気が良い金曜日の午後。

看護師さんの言葉に、わたしは一ヶ月ぶりくらいに


「あの……会います」


と答えた。

驚いたように、だけど嬉しそうに


「わかった」


とだけ言った看護師さんは、ドアの前で少し立ち止まると


「何かあったらすぐナースコール呼んでね!」


綺麗な笑顔で去っていく。

緊張で高鳴る鼓動。

その数十秒後に、ゆっくりとドアが開いて九条くんが中を覗いてきた。


「……九条くん」

「今、いい?」

「うん」


頷くと、九条くんは病室に入ってわたしの隣にある椅子に腰掛ける。

ふぅ、と一つ息を吐いて、改めてわたしの顔を覗き込んできた。

好きだと気が付いてから、初めて九条くんと顔を合わせる。

九条くんはこんなわたしを見ても引かないって言ってくれたけど、実際に会ったらやっぱり引いちゃうんじゃ……。

そんな不安は、


「急に悪かった。潮路が俺に会いたくないのはわかってたんだけど……」


と言われたことでどこかに消えていった。