手を繋いで、君と前を向く。


「潮路」

『なに……?』

「……明日、会いに行ってもいいか?」

『え?』

「嫌ならカーテン閉めめてもいい。ドアの前からでもいい。直接、声が聞きたい」


自分でもどうしてそんなことが言えたのかはわからない。

電話の向こうから息を呑む音が聞こえて、戸惑っているのがわかる。

だけど、そのまま少し待つと、


『……わかった。わたしも、九条くんに会いたいから。待ってる』


だけど、ひどい姿してるから引かないでね。

そんな言葉に、もちろんと俺は数回頷く。


「ありがとう。じゃあ、また明日」


電話を切ると、放り投げるようにスマホから手を離して目を閉じる。

どくどくと高鳴る鼓動。

潮路と電話をしただけで、こんなにも感情が揺さぶられる。

早く会いたい。電話を切ったばかりなのに、もう声が聞きたい。


──自分が、誰かに対してこんな感情を抱く日が来ようとは。


不安に揺れる潮路の瞳が輝くのを想像して、無意識に薄く微笑んだ。