手を繋いで、君と前を向く。

「は?移植……?」


ある日の夕方。潮路から送られてきたメッセージを見て、俺は自宅のベッドの上で目を見開いた。

つい最近まで、抗がん剤治療をしていたのは知っている。

吐き気がひどくて誰とも会いたくないと言っているとは看護師が言っていたから、かなりつらいんだろうとは思っていた。

だけど、つらい分少しずつでも良くなっていっているのだと思っていた。だって、そのための薬なのだから。

それが、突然移植することになったと連絡が来て困惑の色を隠すことができない。

返事を送ろうとして、一瞬手を止めてから電話をかける。

数回のコール音のあと、


『……もしもし?』


と緊張したような声が聞こえてきた。


「潮路か?急に悪い。移植って聞いて、つい」

『ううん。わたしも急に言ってごめんね。……なんか、自分でもまだ気持ちの整理がつかなくて』

「そりゃそうだろ。抗がん剤治療、頑張ってきてたんだから」

『……うん。でも全然効いてなかったみたい』

「そうか……」


潮路は手術することがショックなようで、電話越しの声でもわかるくらい落ち込んでいるようだった。