「はぁ!?九条 那智を手当てしたあ!?」
「ちょっ!声が大きい!」
「っ、ごめん。でも……え?どういうこと!?」
「実は帰り道に──」
翌日。いつも通り登校したわたしは、小学校のころからの親友の愛ちゃんにこそこそと昨日の出来事を話していた。
驚きすぎて大声を出した愛ちゃんはたくさんの視線を集めてしまって、わたしは慌てて愛ちゃんを教室の隅に追いやる。
全部を聞き終わった愛ちゃんは、わたしの顔をまじまじと見てから呆れたようにため息をついた。
「はぁ……あんた、本当危機感無さすぎ……」
「え」
「九条那智に限らず、もしそれが雪菜みたいに優しい子を狙ってるヤバいやつだったらどうするつもりだったの!?」
「そ、それは……」
「それか、どこかに他の人が隠れてて襲われたらどうするつもりだったの!?」
愛ちゃんはわたしの肩をぐわんぐわん揺らしながら
「世の中みんなあんたみたいに優しい良い子ばっかりじゃないんだからねー!何かあってからじゃ遅いんだよ!」
と怖い顔で怒ってくる。
でもそれがわたしを心配してくれてるからこそ言ってくれているのもわかるから、
「ご、ごめんね愛ちゃん。心配してくれてありがとう」
と揺れながら答えるとようやく止まってくれた。



