手を繋いで、君と前を向く。

*****

「それは……恋じゃない?」

「え?恋?」

「うん。……でもまさか、雪菜がまだ九条那智と繋がってたとは……」

「ははは……それは……えっと、いろいろありまして……」

「いろいろねぇ?まぁ病院は安全だし、雪菜が大丈夫ならいいけどさあ」

「うん。ありがと愛ちゃん」


数日後、わたしはお見舞いに来てくれた愛ちゃんに、九条くんのことと自分の気持ちを相談してみることにした。

だけど、返ってきた"恋"という言葉に覚えがなさすぎて、さらに戸惑ってしまう。


「ねぇ愛ちゃん。恋って、"好き"ってことだよね……?」

「当たり前じゃん。なに小学生みたいなこと言ってんの」

「ごめん、なんか恋とかそういうのって無縁だと思って生きてきたから、いまいちピンときてなくて」


病気のことばっかり考えていたから、誰かを好きになるとかそういうことは今までなかった。

だけど全く興味がなかったわけではない。少女漫画も好きだし、恋愛もののドラマも見る。

だから、いつかわたしにも好きな人ができるのかな、できたらいいな、と憧れのようなものはあった。

でも実際にそう言われると実感がなさすぎて戸惑ってしまう。