手を繋いで、君と前を向く。

「……んだよ」

「ふふっ……ううん、なんか、お父さんみたいだなって思っただけ」

「……なんかムカつく」


呆れたような、でもどこか悔しそうな。

そんな表情が新鮮だ。


「……でも、もし抗がん剤が効かなかったら移植になるかな」

「移植って?」

「骨髄移植。聞いたことない?」

「あるような……ないような……」


わたしの白血病は、急性骨髄性白血病というもの。

だから自分の身体に骨髄バンクのものを点滴することで移植することもできるのだ。

抗がん剤が効かなかったら、もう移植しか方法は無い。


「でも、移植したからって百パーセント治るわけじゃないから、どうなるかはわからないんだって」

「そうか」


移植しても強い副作用が出てしまったり合併症になってしまったり、もっとひどい状態になる可能性だってある。

そうなったら、もうわたしには治療法がないかもしれない。


抗がん剤が効いてくれるだろうとは思ってるけど……。


考えれば考えるほど気持ちは沈んでいく。

多分、ここで無理して笑えば九条くんは怒るから。


「……だからちょっと不安が大きい、かな」


素直にそう気持ちを呟いてみると、


「気持ち、言えるようになってきたじゃん」


と微笑んでわたしの頭を撫でてくれる。

その優しさに甘えていると、九条くんの腕に傷があるのが見えて、慌ててその手を掴んだ。