手を繋いで、君と前を向く。

そんな九条くんは今日も学校帰りに来てくれたようで、制服姿のままだ。

九条くんがここにきてくれるようになってすぐに


"つーか、あんたいつまで俺に敬語なわけ?タメだろ"


と言われて敬語を禁止された。

恐れ多くて最初はビクビクしていたけれど、タメ口で話してみるとなんとなく距離が縮まったような気がして胸がほっこりする。

最近ではそれにも慣れてきて、"友達"らしくなってきたような気がしていた。


「んで、治療はどーなんだよ」

「うん。今のところ転移もしてないから、抗がん剤治療でやってみようって言われてる」

「……あれか、吐き気すごいやつ」

「うん。よく知ってるね」

「昔ドラマで見た」


点滴で薬を入れられて、その副作用で吐き気が止まらなかったり髪の毛が抜けたりする。

ずっと伸ばしていて、胸下あたりまで伸びた髪の毛。

それを見ていると、九条くんが


「髪、抜けたりもするんだろ」


と言いにくそうに呟く。


「うん。せっかく伸ばしてたけど、仕方ないよね」


へらりと笑うと、


「おら、また無理して笑ってる」


と叱られて今度こそ吹き出すように笑った。