手を繋いで、君と前を向く。

潮路を励ましているうちに、気が付けばあいつは泣き疲れたのか眠ってしまっていた。

とりあえず横にさせてから、起こさないようにそっと病室を出る。

すると扉の前で潮路の母親がずっと待っていたようで、その手に持っているメロンを見て


「あ」


と声が出た。

そうだった。メロン切ってくるって言って部屋出てたんだっけか。

もしかして、ずっとここにいたのだろうか。

だとしたら、全部見られていた可能性もあるわけで。

やべぇ。俺、変なことしてないよな?大丈夫だよな?

表面上は平常心を保ちながらも、内面では焦りながら自問自答を繰り返す。


「九条くん。ありがとう」

「あ、いえ……すみません。無関係の俺が、でしゃばって……」

「とんでもない。……雪菜ね、昔から入院が多かったからなのか母子家庭だからなのか、ああやって気持ちを表に出すことが得意じゃないの」

「そうみたいですね。……無理して笑ってるのが気になって」

「うん。情けないけど、あの子が最初に白血病って診断された時、私号泣したの。だから余計に気にしてると思う。九条くんが来てくれて本当に良かった。あんなに感情を曝け出してる雪菜を見たのは久しぶり。あの子にとって、九条くんはきっと特別な友達なのね」


"特別"


その言葉に、俺は何も言うことができなかった。