手を繋いで、君と前を向く。

「九条くん」

「え……」

「九条くんが来てくれて、嬉しいです」

「っ……」

「……わたしなんかのこと、気にかけてくれてありがとう」


ずっと、心のどこかで一人ぼっちだと思っていた。

学校に行けば仲良くしてくれる友達はいる。もちろんわたしには愛ちゃんがいる。

だけど学校に行っていない今は、愛ちゃんは部活で忙しくてなかなか来てほしいなんて言えないし、無理だけはしないでほしいと思ってる。

他の子も、受験生だから塾や最後の部活の大会に向けて忙しい。それにこんな姿を見られるのはやっぱりちょっと恥ずかしいから来てほしいとは自分からは言えない。

誰かに来てほしい。誰かに話を聞いてほしい。

そう思うけれど、自分からそれを発信する勇気はわたしにはなくて。

同情されたくもない。かわいそうなんて言われたくない。だけど、誰かにそばにいてほしい。

矛盾した気持ちが心の中でぐるぐると回って、そのまま身体を重くしていく。

病室にいる間はとても孤独。

仕事の前後や休みの日に来てくれるお母さんが唯一の心の支えで。でも、一人になった瞬間に心がどんどん奥深くに沈んでいく。


だから今日、九条くんが来てくれて本当はとても嬉しかった。

……そりゃあ、もうちょっと髪をとかしてからにしてほしかったとか、着替えもしたかったとか、いろいろ思うところはあるけれど。

何よりも、まず来てくれたことがすごく嬉しい。

わたしが入院したってことを知ってすぐに駆けつけてくれたことが、本当に嬉しいんだ。

これが最初で最後だとしても、すごく嬉しい。