手を繋いで、君と前を向く。

だけどまさか、そんな九条 那智とこんなところで出会うだなんて。

キリッとした鋭い目がすごくきれいで、みんながアイドルみたいだと言っていた意味がわかる。

そう思いながらまじまじと九条くんを見つめてみると、


「んだよ……」


と気まずそうに目を逸らされた。


「あ……ごめんなさい。九条くんって、こんなにかっこいい人だったんだな、って、思って……」

「……お前」


言い切ってから、自分が何を言っているのか理解して顔が真っ赤に染まる。

ちょっと待って、わたし、初対面の人に何言っちゃってんの……!?

そ、そりゃあ、イケメンだって噂だったし、かっこいいんだろうなあとは思ってたけど!思ってたけども!

だけどまさか本人に直接そんなこと言っちゃうなんて!


「いやっ!ごめ!ごめんなさい!今のはその、言葉のあやと言うか!……あ、でも嘘とか冗談とかじゃなくて!本当でっ!ちょっと思わず言っちゃっただけでっ!えっと、その、わたし結構思ったことなんでも言っちゃう癖があって!……いやわたし本当何言ってんだろう……ごめんなさいもう忘れてくださいいいい……」


口を開けば開くほど何を言っているのか自分でもわからなくなってしまい、泣きそうなくらいに恥ずかしい。

ああもう、自分がイヤすぎる……っ。

絶対キモいって思われたよ……そりゃそうだよ、ありえないよ、なんだこいつって思われてるよ……。


逃げ出したいのをぐっと堪えつつ、でも顔を上げることができなくて両手でおさえていると、突然


「っ……ははっ、なんだよお前、変なやつだなっ」


笑い声が聞こえてきて、思わず顔を上げた。