手を繋いで、君と前を向く。

「お母さん?どこ行って……って、え……?」


目の前の光景が信じられなくて、わたしはベッドの上で何度も瞬きを繰り返す。


「……なんで、九条くんがここに……?」


検査をしている間にお母さんがどこかに行ってしまっていて、帰ってきたと思ったら隣に九条くんの姿があった。

制服姿で、お母さんと一緒で。わたしの病室にいる。

情報が多すぎて、頭が全くついていかない。


「え?どうして?なんで?」


パニックになったわたしは、布団に潜り込むように逃げて"どうして"と"なんで"を繰り返す。

そんなわたしにお母さんが


「下で偶然見かけて、お母さんがお礼を伝えたくて無理矢理引き留めたのよ」


と言いながら布団をめくった。


「そ、それにしたって病室に連れてくることないじゃん!わたし、こんな格好だし……」


家から持ってきていた犬柄のパジャマだし、髪の毛はボサボサだし……。

恥ずかしくて布団から出られないよ。九条くん連れてくるなら先に言ってよ……!

そんなこと言ったってどうしようもないことはわかっているけれど、パニックのわたしはお母さんにあたることしかできない。

そんなわたしに、入口の前にいた九条くんは


「……やっぱり帰ります」


と言ってクルッと向きを変えて出て行こうとする。

それに思わず


「待って!」


と呼び止めてしまって、自分で自分にびっくりした。