手を繋いで、君と前を向く。


いつからだっただろうか。

元々細かった母さんがどんどん痩せていき、それと同時に咳が増えて体力が落ちていったのは。

まだあの頃は無邪気で真面目な子どもだった俺は、私立の中学に進みそれなりに頑張って勉強していた。

それが、ある日突然


"お母さんが救急車で運ばれたそうだ。すぐに行ってあげなさい"


と当時の担任に言われ、大急ぎで病院に駆けつけたのだ。

そこで知らされたのは、母親が重い肺の病気だったこと。そしてそれを俺に悟られないように、ずっと我慢していたこと。

その結果、悪化してしまいかなり厳しいところまで来ていたこと。

すぐに入院になり、治療が始まった。

俺の父親は仕事人間で、海外を飛び回っている。


"母さんが入院したんだ。俺一人じゃどうしたらいいかわからない。早く帰ってきてほしい"


そう連絡をした時に、


"仕事が忙しい。すぐには無理だ。生活費は振り込んでおくからどうにかしなさい"


たったそれだけが送られてきて、俺は一人ぼっちになった。

母さんに父さんからのメッセージを伝えることはとてもできなくて、"仕事が落ち着いたら来るって"とだけしか言えなかった。

母さんは何もかもを悟ったように頷いてから、"ごめんね、なっちゃん"と言われた時に全てが崩れたような気がした。