手を繋いで、君と前を向く。

街で一番デカい病院。そこに定期的に来るのは、俺の具合がどうこうという問題ではない。


「那智くん、久しぶりだね。お母さんの顔見てってあげて」


入院病棟の五階。ナースステーションにいる顔見知りの看護師に軽く頷いてから、五一〇号室に向かう。

その途中で、ついさっきあいつに会ったことを思い出す。

モヤモヤした気持ちが消えずに、自分の感情がわからなくて段々イライラしてきた。


……そもそもどうしてあいつがこんなところに。


どっか悪いのか。そんな聞き方をした俺も悪かった。だけど、ふわっとした答えしか聞けなかったことに少なからず後悔が募る。

風邪か?でもそれならこんなデカいとこじゃなくて近所にあるクリニックにでも行けばいい。

じゃあなんだ。ここじゃないとダメな理由があるのか?

それとも親がここに通わせてるとか……?

……ダメだ。これ以上考えたって何も答えは出ない。

その間に五一〇号室について、俺は深呼吸をしてからその扉を開けた。