手を繋いで、君と前を向く。

「ねぇ聞いた!?九条くん、女の子と一緒に歩いてたって!」

「彼女じゃないかって言われてるよね!」

「九条くんがケンカしてたところにいたんだって!」


……朝から、なんだかそわそわする噂話が広がっていた。


九条くんが女の子と一緒にいたらしい。

そんな噂が、朝から学校中で広がっていた。

当の本人は学校に来ているのかどうかも怪しいけれど、その姿は見ていない。

もしかしたら前みたいに保健室で寝ているのだろうか。


……でも、あの噂の女の子って、きっとわたしのことだよね……?え?違う?他の子のこと?いやでも、ケンカしてた時にいたのってわたしだし……。


気が付けば噂が噂を呼び、九条くんには"とてつもなく可愛い彼女がいるらしい"という謎の話が出来上がってしまっていた。

だけど、その噂の女の子はわたしです!なんて言えるわけもないし、かと言って九条くんはどこにもいないから噂は広がる一方。

今までも良からぬ噂はたくさんあったけど、女の子が出てくるようなものは全くなかった。

だからこそ、みんな驚いてどんどん広まっていくのだろう。

これが、九条くんが"俺に関わるな"と言った理由なのかな。