手を繋いで、君と前を向く。

あいつ……潮路っつったか。

そこそこ長めの黒髪に、ぱっちりとしたタレ目。
多分、可愛い部類に入る女子なんだと思う。
ただ、驚くほどに真っ白な顔。触ったら折れそうなほどに細い手足。
儚いという言葉が似合いそうなあいつは、今まで出会ったことのないタイプの女だった。


最初は、ただのお人好しだと思った。

俺のことを知らないのかと思ったけど、聞いてみれば名前も知ってる。

ただ衝動的に助けに来ただけのお人好し。

だけど二回目はどうだ。

俺のことをちゃんと認識した上で、わかった上でやってきた。

しかも自分の家にあげるか?フツー。

まぁ、俺が血を出していたからなんだろう。

多分、俺じゃなくてもあいつは同じように対応したんだろうとは思う。

だけど、……あまりにもバカなんじゃねぇかって。

あいつと関わると、調子が狂う。


「頼むからもう関わらないでくれねぇかな……」


顔はまだ割れてねぇだろう。これ以上関わらなければ自然と噂も消えるだろう。そうすればあいつが危害を受けることはない。

だけど。


"わたし、お人好しのお節介だから"


あの調子じゃあ、それは無理かもしれない。

あいつの家はあの公園からすぐ近くだった。

つまり、あの公園じゃなきゃいいわけで。

とはいえ、喧嘩をふっかけられる場所なんて選べるわけじゃない。


「もう、どうすりゃいんだよ……」


考えれば考えるほどわからない。