手を繋いで、君と前を向く。

昼休みを告げるチャイムが鳴り響くのを聞いて、俺は保健室のベッドから起き上がる。

するとそれを見計らったかのように


「九条くん。そろそろ教室戻りなさい!」


とカーテンを開けられた。


「……やだって言ったら?」

「嫌でも戻るの!……もう、たまにはちゃんと授業に出なさいって言ってるのに」

「……はいはい。わーってるよ」

「もー、全然わかってないでしょ!あのね九条くん。あんまりサボってばかりだと担任の先生に言うしかなくなるんだからね?」

「それは困るから見逃して。じゃ、さよなら」

「もー、気をつけなさいよー」


適当に返事をしてから保健室を出る。すると昼休みのためか廊下がガヤガヤしているように感じてため息をついた。


保健室の教師は俺がサボるために寝に行ってもガミガミ怒ってこないから楽だ。

ベッドは無駄に固いし決して良い寝心地とは言えないけど、なんだか落ち着く。

多分、隔離された空間で誰からも見られることがないからだろう。

昼メシ代わりに朝買ったパンを一つかじりながら、どこか空き教室にでもいこうかと歩みを進めていると、なんだかいつもより視線を感じて眉を顰めた。