手を繋いで、君と前を向く。


慌てて近くにある水道に向かい、ハンカチを濡らす。

すぐに戻っておでこの血を拭くように当てると、


「っにしてんだよふざけんなっ……」


彼は逃げるようにわたしの手を振り払った。


「ご、ごめんなさい。でも、ケガが酷いから……」


ぎろりと睨まれつつも、こんなケガをしている人を放っておくことなんてできない。


「今消毒と絆創膏持ってくるので、ちょっと待っててください」


彼の返事を聞く前に立ち上がり、急ぎ足で家に向かう。

そして救急セットを持って、また公園に戻った。

もしかしたら彼はもういないかもしれない。そう思っていたけれど、公園の入り口からさっきのキラキラとした髪が見えて少しホッとした。


「お前、マジで戻ってきたのかよ……」


戻ってきたわたしを見て呆れたような表情をした彼は、


「待っててって言ったじゃないですか。ちょっと染みますよ。じっとしててください」


そう言って消毒をし始めようと手を伸ばすわたしに、もう何も言わなかった。