手を繋いで、君と前を向く。

「……ごめんなさい、それは多分無理です」

「はぁ?俺の言ってる意味わかんねぇのか?」

「なんとなくはわかります。だけど、また今日みたいに目の前でケガしてたら、わたし放ってなんておけない」
「……」

「言ったでしょ、わたし、お人好しのお節介だから」

「……んとに、なんなんだよお前……」


真っ直ぐに九条くんを見つめると、九条くんの方が先に目を逸らした。

困ったようにガシガシと頭を掻いていて、わたしはそれをまたじっと見つめる。


「……頼む。今日みたいなことがあっても、俺のことはもう放っておいてくれ」

「っ、なんで……どうして」

「どうしてもだ。……頼む、巻き込みたくないんだ……」


じゃああんなところでケンカなんかしないでよ。

そう言いたいのに、切なそうな声と表情を見ていると言葉に詰まる。


「……じゃあ俺、帰るから。お邪魔しました」


九条くんはそのまま、わたしに背を向けて帰っていってしまったのだった。