手を繋いで、君と前を向く。

「まぁいいけど。でもそうか。それなら留守中に上がり込んだんだから、なおさら挨拶しねぇと」

「大丈夫です。お母さんそういうの気にするタイプじゃないし。そもそもわたしが連れてきたんだし」

「……じゃあ、勝手に上がって申し訳なかったって伝えといてくれ」

「別にいいのに。でもわかりました。そう伝えておきます。……はい、手当も終わりました!」


最後の一箇所に絆創膏を貼り終え、救急箱をしまう。

九条くんはしばらく腕に貼られた大きな絆創膏を見つめていたけれど、すぐに飽きたように立ち上がった。


「さんきゅ。警察のことも、教えてくれて助かった」

「あ、私は別に何も……。お節介しちゃっただけだから……」

「まぁそうだけど。でも、こういうのはこれで終わりにしてくれ」

「……え?」


言っている意味がわからなくて、聞き返す。

すると九条くんは


「俺と関わるとろくなことにならない。お前が危ない目に遭うんだ。だから、もう俺には関わるな。いいな?」


と忠告してくる。

他の女の子なら、そう言われてわかったと頷くのだろうか。

だけど、わたしは頷けそうもない。