手を繋いで、君と前を向く。

誰か近所の人が通報したのだろうか。その音はどんどん近付いてくるよう。


「っ、やべぇ!おいてめぇら!逃げるぞ!」


石を持って九条くんを殴ろうとしていた男も音に気が付いたのか、そう叫ぶと周りに倒れている男たちを雑に蹴り上げて走って逃げていく。

同じように残っていた数人も慌てて逃げ出してしまい、ついに公園には九条くんだけになってしまった。

周りに誰もいないことを確認して、わたしは九条くんの元へ駆け寄る。


「く、九条くん!大丈夫ですか!?」

「あ……?んだよ、またお前か。今度はなんだ」

「なんだじゃない!こんなひどいケガして……」

「別に、いつものことだしこんなの大したことじゃねぇよ。つーか関わるなって言っただろ」


わたしに変なものでも見るような目を向ける九条くんに、


「そんなこと言ったって放ってなんておけないでしょ!ほら、立てますか?早く行かなきゃ!」

「あ?行くってどこに」

「とにかくどこか!聞こえるでしょ!?サイレンの音!警察来ちゃう!早く!」

「は?サイレン?……マジかよ」


こんなケンカの光景を初めて見たわたしでも、今警察が来たら九条くんが補導されてしまうことくらいわかる。

どうやら疲れ切っていたのか、九条くんはパトカーのサイレンの音に気が付いていなかったようで、


「だからあいつら血相変えて逃げて行ったのか」


呆れたようにそう呟いて立ち上がった。


「とにかく早く!わたしの家すぐそこだから!行きますよ!」

「はぁ?」

「手当もしなきゃだし、まずはここから離れなきゃ!ほら!」

「……わーったよ」


九条くんは早く早くと必死に腕を引くわたしに諦めたようにため息をついた。

補導されるよりはマシだと思ったのだろうか。今はそれでもいい。とにかくここから離れて手当しないと。

その一心だった。