手を繋いで、君と前を向く。


なぜだかまた隣のベッドから小さく笑い声が聞こえたような気がして、慌てて咳払いをする。


「……あ、えっと、気にしないでください……というか、急に逃げたりキモいこと言ったり……失礼な態度とってごめんなさい……」

「いや、別に。慣れてるし気にしてない」

「いや慣れるものでは……」

「いいんだよ。……あんたももう俺には関わるなよ」

「え?」

「俺には関わるな。昨日のことは忘れろ。それだけだ。じゃあ俺、寝るから」

「え、ちょっと……!?」

「……」


隣からはそれっきり声が聞こえなくなってしまい、困惑しながらもわたしも布団の中に戻り目を閉じる。


"俺に関わるな。昨日のことは忘れろ"


その言葉がどういう意味なのかはよくわからないけれど、とにかく今は頭痛を治すほうが先だ。

布団を頭まで被って、隣のベッドとは反対方向に身体を向けて、そのまま眠った。