手を繋いで、君と前を向く。

こんなに頭が痛いのも、昨日帰った後変な時間に寝てしまったからだろう。

夜に眠れなくなったせいで、夜中の間ずっと九条くんとのことが頭をぐるぐる回っていた。

どうにか朝方にようやく寝たけれど、やっぱり睡眠時間が足りなかったんだと思う。

今寝たらまた夜眠れなくなるかもって一瞬思ったけれど、それ以上に頭痛が限界を迎えている。

もう無理、わたしは寝る。そして昨日のキモい自分は忘れよう!

そう思っていたのに。


「──じゃあ九条くん、隣の子のこと頼んだわよ。どうせ起きてるんでしょ」

「……無理、爆睡中」

「……追い出すわよ」

「……チッ……わーったよ」


心底面倒臭そうなその声と名前を聞いて、わたしは閉じていた目を思いきり開く。


……え、今先生なんて言った?


九条くんって言った?え?昨日と同じ声したよね?え、まさか隣に寝てるのって、九条くんなの!?

驚きの事実にしばらく固まっていたものの、先生が保健室を出ていく音で正気に戻る。

恐る恐る身体を起こしてカーテンを開いて隣を見てみる。でも、当たり前だけど隣もカーテンをしているから誰なのかは見れない。

そりゃそうだ。保健室でカーテン開けて寝てる人なんて見たことないもの。

そう思って諦めてまたカーテンを戻そうとすると、


「……昨日は助かった。ありがとう」


と、隣から声が聞こえて


「ひぇっ!?」


と驚きすぎて変に声が裏返った。