手を繋いで、君と前を向く。

「やば……え、マジ?」

「そんな幸せなこと、夢じゃないならおかしいじゃん……わたし、九条くんに好きだと思ってもらえるようなこと何もしてないよ……」


お節介で、オブラートに包むこともできないで喋ってしまって。

心配かけて、泣いて困らせて。

好きだなんて、思ってもらえるような人間じゃないよ。

だから夢だよ。きっと、そうだよ。

そう思うのに。


「……夢にしてたまるかよ」


さっきまでの優しさから一転、キツくキツく抱きしめられた身体は、隙間が無いくらいにぴったりと九条くんの胸にくっついた。

お互いの心臓の音が混ざって、気持ちがどんどんたかぶってくる。


「好きじゃなきゃ、寂しいって言われても走って駆けつけねぇよ」

「っ……」

「好きじゃなきゃ、そもそもお守りなんて買ってこねぇよ」

「っうぅっ……」

「母親の見舞いのついでなんて、ウソに決まってんだろ。潮路に会いに来てたんだよ。潮路に会いたかったんだよ」

「くじょ、くんっ……」

「好きだから、毎日でも顔を見たくて。好きだから、毎日神社にお参りして。好きだから、変わろうと思って、俺も向き合おうと思って、ケンカもやめて。……好きだから、全部潮路のことが好きだからできたことだから」


泣きじゃくるわたしに、九条くんは何度もわたしに気持ちを伝えてくれる。


「勝手に夢にしてんじゃねーよ。怒るぞ」


私の頭を撫でながらの言葉は、どこか笑みを含んでいるようで。

その手は、どこまでも優しい。