手を繋いで、君と前を向く。

「ねぇ九条くん」

「……ん?」

「嫌じゃなかったけど、どうして……昨日、あんなことしたのかなって……」


聞くならここしか無いと思って、言葉に詰まりながらも聞いてみる。

すると九条くんはまた顔を真っ赤にして、


「いや……それは……っとー……ちょっと待って」


手を離して困ったように頭を掻く。

それを見ていたら、わたしまでなぜか恥ずかしくなって顔が赤くなってしまう。


「あ、ごめん。言いたくないならいいの。ただ、ちょっと聞きたかっただけだから」

「いやそうじゃなくて。言いたくないんじゃなくて、言いにくいっていうか……いやそれも違うな……」

「九条くん?」


小声で


「あー、クソ、情けない」


とこぼした九条くんは、次の瞬間何かを決意したようにもう一度わたしと視線を絡めた。


「潮路」

「は、はい」

「……好きだ」

「……え?」

「本当は、潮路の病気が治ってから言うつもりだった。だけど、多分もう無理」


今、なんて言った?

九条くん、今なんて言ってた?


「く、じょ……くん……」

「こんなこと言ったって、潮路が困るだけなのもわかってる。だけど、俺、決めたから」

「……」

「自分の気持ちに向き合うって、決めたから」


──好きだ。


もう一度そう言ってくれた九条くんに、わたしはじわじわと涙が目に滲む。

これは、夢だろうか。

わたしに都合の良い、夢なんじゃないか。

だって、そんなこと、ありえないと思ってた。

九条くんが、わたしのことを好き?

待って待って、頭追いつかないって。