手を繋いで、君と前を向く。

今度はわたしは目を逸らす番で、


「あの、えっと……」


あまりの恥ずかしさに言葉を濁す。

だけど九条くんはそれを許してくれず、


「潮路。こっち見て」


とわたしの手を握った。

それをびくりと肩を揺らし、恐る恐る九条くんに向かって顔を戻すと、想像以上に頬を真っ赤に染め上げた九条くんがいた。


「え……九条、くん?」

「なぁ、……本当に、嫌じゃなかった?」


その瞳は不安そうに揺らめいていて、今まで見てきた九条くんとは別人のよう。


「なぁ、潮路」

「は、はい」

「本当に、嫌じゃなかった?」


手を握る力は弱々しくて、本当に不安に思っているのがよくわかる。

もしかしたら、九条くんも昨夜、ずっと考えていたんじゃないかな。

わたしが嫌がってるんじゃないかって、不安に思って眠れなかったりしたのかな。

そう思ったら、胸がきゅーっと痛む。


「……うん。本当に、嫌じゃなかったよ」


むしろ、嬉しかったんだよ。

そんなことを言ったら、九条くんは困ってしまうだろうか。

そっと手を握り返して、


「わたし、嫌じゃなかったよ。だから、そんなに不安そうな顔しないで」


そう笑いかければ、九条くんは安心したように深い息を吐いて下を向いた。