手を繋いで、君と前を向く。

「……潮路」

「……九条くん」


数時間後。

どこか気まずそうに病室のドアを開けた九条くんが、わたしとは目を合わさないままに入ってきた。

そのまま隣の丸椅子に腰掛け、しばらく沈黙が続く。

何か話題を、と思うけれど、口を開けば昨日のことを聞いてしまいそうでうまく言葉が出ない。

そんなわたしを見かねてか、九条くんは


「……今さらだけど、体調、どうだ」


と話題を振ってくれた。


「あ……うん。落ち着いてる」

「副作用、ひどかったって聞いた」

「うん。かなり。でも、お守りのおかげで頑張れたよ」

「そっか、よかった」


もらったときは鮮やかなピンク色だったけど、毎日のように手に取って握ってってやっていたら、少し色がくすんできたような気もする。

それが、わたしの病気やつらさを吸い取ってくれているように感じていた。


「……昨日は、驚かせて悪かった」

「え……あ、えっと……」

「今潮路にとって大事な時期だってわかってるのに。あんなことしたら、もし俺が風邪とか引いてたらやばかったと思って。……本当、ごめん」

「ううん。もう免疫も少しずつ戻ってきてるし、副作用も落ち着いてるし。大丈夫だよ」


まさか九条くんから昨日の話を振ってくるとは思ってなくて、


「それに、嫌だったらごめんって言ってたけど、全然嫌じゃなかったし……」


焦ってまた思ったことをそのまま口に出してしまう。

それに気が付いた時にはもう遅くて、


「……それ、マジ?」


九条くんが驚いたようにわたしの顔をじっと見つめてきた。