小羽根と自由な仲間達

「はい、これだよー」

と言って、萌音先輩はテーブルの上に、買ってきたものを置いた。

…これって…。

「…何なんですか?」

「見たら分かるだろう?プロテインだ」

えっ、プロテイン?

「これを飲んで、健康を増進するぞ」

…。

…僕達って、健康を追求しているのであって。

別にムキムキになりたい訳じゃないんですけど。

何でプロテイン…?

…まぁ、健康に悪いものではないし、セーフにしておこうか。

「まほろ部長の健康の方向性が間違ってるような気がしますね…」

「言うな、小羽根…。今更だ」

ですよね、李優先輩。

「とはいえ、昨日あれほどハードに筋肉を使ったので、プロテインを飲むのは悪くないかもしれませんね」

と、冷静に判断する唱先輩。

…まぁ、確かに。

「折角、萌音先輩がわざわざドラッグストアで買ってきてくれたものですし…」

「結構お高いんだよ、これ。一袋六千円くらいした」

本当に高いんですね。

えっ。これ相場なんですか?

「大丈夫だ萌音ちゃん。部費から払うから」

ぐっ、と親指を立てるまほろ部長。

部費でプロテインを買うのは、うちの部活くらいでしょうね。

絶対、部費の使い方を間違えてますよ。

「でねー、色んな味があったんだよ」

「え…。プロテインって味ついてるんですか…」

「飲みやすいように工夫されてるんだろうな」

へぇー、そうなんですか。

プロテインなんて飲んだことないから、全然知らないんですよ。

でも、昨今の筋トレブームで、プロテイン飲料が流行ってますもんね。

色んな種類があるのも納得ですよ。

「バニラ味、チョコ味、フルーツ味とか…いっぱいあったんだよー」

「そうですか…。それで、萌音先輩は何味を買ってきたんですか?」

「んーとね、パクチー味」

!?

慌ててテーブルの上のプロテインを見ると。

…書いてある。本当に。

『○○プロテイン パクチー風味』って書いてある。

色々種類があるのに、何故敢えてこのフレーバーを選んできたのか。

まさか怒ってるんですか。ドラッグストアにお使いに行かされたことに対する、無言の抗議なんですか。

しかし、萌音先輩は。

「一番美味しいかな〜って思って」

あくまで、善意100%でパクチーを選んだ模様。

…そういえばそうだった。

「萌音先輩…。飲み物の買い出しに行った時も、凄い味のコーラやサイダーを買ってきてましたもんね」

「…済まん。萌音に悪気はないんだ…。ただ、一般常識が欠けてるだけで…」

大丈夫、言わなくても分かってますよ、李優先輩。

もう、よーく分かってます。