梯子を最後まで降り切ると、薄暗い廊下があった。蝋燭でほんのり明るい程度でほぼ暗闇に近いそこを三人で歩いていく。
「なんだ此処…」
「知らなかっただろう。妖葬班でも一部の人間しか入る事を許されない場所だ」
「……へぇ」
そんな所に部外者の自分を連れ込んで良かったのか? と思ったが罪人を牢屋に拘禁するという意味で、昂枝は適した人材だと言えよう。
廊下を挟み左右に何箇所か引き戸はあるものの、物音などは聞こえない。海祢に付いて進むのはどうやら一番奥のようだ。彼もまた、懐に仕舞っていたらしい別の鍵を取り出すと、該当する部屋の引き戸に付いた海老錠にそれを差し込んだ。
「…………此処です」
海萊が来てからというものの更に口数が減っていた海祢は、昂枝の方を向くと中へ案内した。
―――そこは罪人を収監する場所でも何でもなく、なんとも惨い現場だった。
「な、……なんだよ、これ…」
昂枝は目を見開いて、視界に入ってくるものを理解しようと試みる。しかし拒否反応、というか理解した途端人生で信じ込んできたものが崩れ落ちそうで、頭を働かすことが出来なかった。
「――妖の命は人間より長い。妖葬班から引退した村の政治を担う上役達は、人間の寿命を伸ばす為に日々尽くして下さる。それに応えるのが我々若き妖葬班」
「は、待て。じゃあ、妖を退治する理由は…」
「勿論、実験の為だ。妖の能力と寿命を調べるには大量の妖が必要不可欠だろう?」
何がおかしいといった表情をしながら、部屋に広がる数多の妖の死体と、横たわる人間を一望した。村人なのか、はたまた何処からか連れて来られた者なのかは知らない。だけど、彼らが既に廃人と化している事は一目でわかる。虚ろな目をして口から泡を吐いていたり、異常なまでに痩せ細り白髪を生やしていたり。これらを放置しているという事さえも本来ならば有り得ない光景だ。
「ご子息さんも長生きしたいだろう…? それに村人達の寿命が伸びれば村ももっと栄えるはずだ」
「っ…だからってこれはあんまりだろうが…!」
妖を倒す事はこの村にとって栄光だ。だけどたったそれだけの理由で行われていたというのか。
「妖は…人を襲うというのも」
「一部だろうな。それはご子息さんが一番わかっているんじゃないか? ――会いたがっている二人、とかな」
「なんだ此処…」
「知らなかっただろう。妖葬班でも一部の人間しか入る事を許されない場所だ」
「……へぇ」
そんな所に部外者の自分を連れ込んで良かったのか? と思ったが罪人を牢屋に拘禁するという意味で、昂枝は適した人材だと言えよう。
廊下を挟み左右に何箇所か引き戸はあるものの、物音などは聞こえない。海祢に付いて進むのはどうやら一番奥のようだ。彼もまた、懐に仕舞っていたらしい別の鍵を取り出すと、該当する部屋の引き戸に付いた海老錠にそれを差し込んだ。
「…………此処です」
海萊が来てからというものの更に口数が減っていた海祢は、昂枝の方を向くと中へ案内した。
―――そこは罪人を収監する場所でも何でもなく、なんとも惨い現場だった。
「な、……なんだよ、これ…」
昂枝は目を見開いて、視界に入ってくるものを理解しようと試みる。しかし拒否反応、というか理解した途端人生で信じ込んできたものが崩れ落ちそうで、頭を働かすことが出来なかった。
「――妖の命は人間より長い。妖葬班から引退した村の政治を担う上役達は、人間の寿命を伸ばす為に日々尽くして下さる。それに応えるのが我々若き妖葬班」
「は、待て。じゃあ、妖を退治する理由は…」
「勿論、実験の為だ。妖の能力と寿命を調べるには大量の妖が必要不可欠だろう?」
何がおかしいといった表情をしながら、部屋に広がる数多の妖の死体と、横たわる人間を一望した。村人なのか、はたまた何処からか連れて来られた者なのかは知らない。だけど、彼らが既に廃人と化している事は一目でわかる。虚ろな目をして口から泡を吐いていたり、異常なまでに痩せ細り白髪を生やしていたり。これらを放置しているという事さえも本来ならば有り得ない光景だ。
「ご子息さんも長生きしたいだろう…? それに村人達の寿命が伸びれば村ももっと栄えるはずだ」
「っ…だからってこれはあんまりだろうが…!」
妖を倒す事はこの村にとって栄光だ。だけどたったそれだけの理由で行われていたというのか。
「妖は…人を襲うというのも」
「一部だろうな。それはご子息さんが一番わかっているんじゃないか? ――会いたがっている二人、とかな」

