――走る音だけが聞こえる静かな間、私はゆっくりと聞いた話を咀嚼していた。
はっきりと言って、空砂さんは怖い。
先程の話が本当なら私は今日これから死ぬことはない。勿論、誕生日に死ぬこともない。だけど、最悪な自体になった場合は結婚させられてしまう。臥で無理矢理…なんて事も有り得なくはない話だ。ついそんな事を考えてしまう。
きっと大丈夫と思っているけど、実際事が上手く運んで全員生きて出会えたとして、対して鬼族はどうなってしまうのだろう。生贄による反逆行為に、空砂さん相手に、どうやったら勝てる?
それにきっと、妖葬班…特に海萊さんは私達を追いかけてくるだろう。
本当に無茶苦茶だ。相手が悪すぎるのだから。
私は相手の事を考えずに頭を埋めると、溜息を漏らす。
私は二人にどうなって欲しいの…?
折成さんは、空砂さんに死を求めているの…?
皆は、どう思っているの…?
きっと深守は意地でも二人を殺さない。
だけどそれが今現在の、小さくなってしまった深守を作っているのも事実で――。
(……)
どうしたら全てが上手くいくのだろうか。できれば私も死を見たくない。でも…。
どちらに転んでも私は後悔する気がしてきて、あれだけ強がったのに怖くて堪らない。全員が生きられて、全員が何とかなる方法が存在するならば神様は教えて欲しい。
「結望、もうすぐだ」
そう言われて、はっと顔を上げる。
長い長い距離を走ったように思う。何処に鬼族の里があるのか不明だが、人間が歩いて赴こうものなら数日を要するだろう。
私は息を深く吸い込んだ。落ち着け、大丈夫だと言い聞かせるように。「ふぅ…」と呼吸を整えて「折成さん…、この先は歩いて行きます」と伝えた。
折成さんは「あぁ」と返事をすると、私をそっと下ろす。草履越しでもわかる土の柔らかさ。足へちくちくと草の感触が広がった。一刻も無いほどの時間だったが、地面に足を下ろす事が久しぶりに感じられた。
ちらりと見える集落に、私は覚悟を決めたように一歩を踏み出す。
此処から先は一人なのだから。
はっきりと言って、空砂さんは怖い。
先程の話が本当なら私は今日これから死ぬことはない。勿論、誕生日に死ぬこともない。だけど、最悪な自体になった場合は結婚させられてしまう。臥で無理矢理…なんて事も有り得なくはない話だ。ついそんな事を考えてしまう。
きっと大丈夫と思っているけど、実際事が上手く運んで全員生きて出会えたとして、対して鬼族はどうなってしまうのだろう。生贄による反逆行為に、空砂さん相手に、どうやったら勝てる?
それにきっと、妖葬班…特に海萊さんは私達を追いかけてくるだろう。
本当に無茶苦茶だ。相手が悪すぎるのだから。
私は相手の事を考えずに頭を埋めると、溜息を漏らす。
私は二人にどうなって欲しいの…?
折成さんは、空砂さんに死を求めているの…?
皆は、どう思っているの…?
きっと深守は意地でも二人を殺さない。
だけどそれが今現在の、小さくなってしまった深守を作っているのも事実で――。
(……)
どうしたら全てが上手くいくのだろうか。できれば私も死を見たくない。でも…。
どちらに転んでも私は後悔する気がしてきて、あれだけ強がったのに怖くて堪らない。全員が生きられて、全員が何とかなる方法が存在するならば神様は教えて欲しい。
「結望、もうすぐだ」
そう言われて、はっと顔を上げる。
長い長い距離を走ったように思う。何処に鬼族の里があるのか不明だが、人間が歩いて赴こうものなら数日を要するだろう。
私は息を深く吸い込んだ。落ち着け、大丈夫だと言い聞かせるように。「ふぅ…」と呼吸を整えて「折成さん…、この先は歩いて行きます」と伝えた。
折成さんは「あぁ」と返事をすると、私をそっと下ろす。草履越しでもわかる土の柔らかさ。足へちくちくと草の感触が広がった。一刻も無いほどの時間だったが、地面に足を下ろす事が久しぶりに感じられた。
ちらりと見える集落に、私は覚悟を決めたように一歩を踏み出す。
此処から先は一人なのだから。

