折成さんは微笑んだ。きっと、成兎さんへ愛情を向ける時もこんな感じだったのだろう。そう思える表情に、尚のこと胸が締め付けられた。
「……成兎さんはおいくつ、だったんですか…?」
「人間でいえば、十二、三歳だろうな。お前よりももっと小柄だった。あと、こんなこと言ったら引かれるかもしれないが…あいつは、目に入れても痛くない程かわいいやつだった」
折成さんは少し照れ臭そうに咳払いをする。
「折成さんがそこまで仰る方なら、お会いしてみたかったですね」
「……何もかも終わったら、成兎の墓参りもしてやってくれないか。あいつもきっと喜ぶ」
「そう、ですね。行けることを願っています」
この状況から脱したとしても、失うものも多そうで不安だ。とにかく皆無事でいて欲しい。ただの生贄の私は、そう願う事しかできない。
「つーかよ。そういえばお前、あいつに好意を寄せているだろ」
「えっあ…ぇ……っと」
突然の言葉に驚くと同時に、かぁっと頬が火照るのを感じた。好きか嫌いかと言われたら勿論好きではあるし、きっとそう…なのだけれど。他人から見てもそう見えてしまうのかと思ったら、恥ずかしすぎていたたまれなくなる。
「名前出してねぇのに顔真っ赤だぞ」
「もうっ、今の状況考えてください…!」
「はははっ狐婆も幸せもんだな」
折成さんは笑いながら深守の事をそう呼んだ。一応敵同士だというのに、先程から深守の事を話しても前までの殺気はない。
「…狐は俺の前にも突然現れた。あいつは多分、言わないだけで何もかも全て知っている。あいつは親切なんだろうけど、臆病なんだよな。…俺も人の事言えないけどよ」
「深守は…」言いかけたところで「あいつはお前の為に生きている。互いに生きて、後で聞くんだな」
と折成さんに止められてしまう。
そこからは沈黙が続いた。
むしろ気になったことを殆ど話してくれたのだから感謝しなくてはならない。話すこと自体危険が伴っていたけれど、彼は話してくれた。
深守については――彼は、ちゃんと話してくれるのだろうか。
それに――。
深守のこと、私は愛しているのだろうか。命懸けで助けてくれる彼の事を、大切な彼の事を。彼といると緊張もするし、心臓も跳ねてしまう。だからこの気持ちに嘘は無いはずだけれど…私は深守のこと、まだ全然わかっていなかった。
知る為にも全て終わらせなくてはならない。
私は折成さんの首元で固定している腕に少しだけ力を込めると、静かに目を閉じた。
「……成兎さんはおいくつ、だったんですか…?」
「人間でいえば、十二、三歳だろうな。お前よりももっと小柄だった。あと、こんなこと言ったら引かれるかもしれないが…あいつは、目に入れても痛くない程かわいいやつだった」
折成さんは少し照れ臭そうに咳払いをする。
「折成さんがそこまで仰る方なら、お会いしてみたかったですね」
「……何もかも終わったら、成兎の墓参りもしてやってくれないか。あいつもきっと喜ぶ」
「そう、ですね。行けることを願っています」
この状況から脱したとしても、失うものも多そうで不安だ。とにかく皆無事でいて欲しい。ただの生贄の私は、そう願う事しかできない。
「つーかよ。そういえばお前、あいつに好意を寄せているだろ」
「えっあ…ぇ……っと」
突然の言葉に驚くと同時に、かぁっと頬が火照るのを感じた。好きか嫌いかと言われたら勿論好きではあるし、きっとそう…なのだけれど。他人から見てもそう見えてしまうのかと思ったら、恥ずかしすぎていたたまれなくなる。
「名前出してねぇのに顔真っ赤だぞ」
「もうっ、今の状況考えてください…!」
「はははっ狐婆も幸せもんだな」
折成さんは笑いながら深守の事をそう呼んだ。一応敵同士だというのに、先程から深守の事を話しても前までの殺気はない。
「…狐は俺の前にも突然現れた。あいつは多分、言わないだけで何もかも全て知っている。あいつは親切なんだろうけど、臆病なんだよな。…俺も人の事言えないけどよ」
「深守は…」言いかけたところで「あいつはお前の為に生きている。互いに生きて、後で聞くんだな」
と折成さんに止められてしまう。
そこからは沈黙が続いた。
むしろ気になったことを殆ど話してくれたのだから感謝しなくてはならない。話すこと自体危険が伴っていたけれど、彼は話してくれた。
深守については――彼は、ちゃんと話してくれるのだろうか。
それに――。
深守のこと、私は愛しているのだろうか。命懸けで助けてくれる彼の事を、大切な彼の事を。彼といると緊張もするし、心臓も跳ねてしまう。だからこの気持ちに嘘は無いはずだけれど…私は深守のこと、まだ全然わかっていなかった。
知る為にも全て終わらせなくてはならない。
私は折成さんの首元で固定している腕に少しだけ力を込めると、静かに目を閉じた。

