お茶と妖狐と憩いの場


「えぇと…お、お前にはねぇよ。純血でも個人差あるんだ。人間として生かされてたお前が気づけるわけがない。…大体、万が一角が生えていてもすぐ取られていただろうな」
 折成さんの言葉に私は酷く落ち込んでしまう。
 自身には鬼族の血が入っていて、それでいて鬼族に命を狙われていた。そう考えると悲しいというか、虚しいというか。
 ある種、同族間で完結しているとも言えるけれど…。
「そういうもの、なのでしょうか…」
「……まぁ、強いて言うなら髪色と目の色が妖っぽいか…? お前の母親も似た髪色だしよ。寿命や怪力については知らねぇけど」
 折成さんは私の方を見やる。
 私はなるべく気にしないように、と過ごしていた自分の髪の毛に触れる。
「私…、この芥子色嫌いなんです。村の人達は私の事気味悪がって…その、虐めてくるので自ら短く切ってしまいました。でも、なんで気づかなかったんでしょう…。早く気づけてればまた違っていたかもしれないのに」
「環境がそうさせなかったんだろう。宮守から出なければ通常の妖にも人型の妖にも出会わない」
「確かに…そうですね」
 宮守はそうすることで本人の疑問を最小限に留めていた。知ってしまえば、察しのいい子供ならわかってしまうから。自ら引きこもっていた私だけれど、結局は同じことだったのだと実感させられる。
「角といえば、両親共鬼族の成兎にも角が生えてなかった。あいつは、鬼族なのに…って度々悔しがってたけど、本当に人それぞれなんだよ」
 折成さんは遠くを見つめながら言った。
「……だから、だろうか。家族の中でも真っ先に標的にされたのは。角を持ち、力を持つ者こそ本来の鬼族、あの人はそう思っているはずだからよ。だからあいつが…、成兎が鬼族に産まれなかったら、今頃幸せに生きていたんじゃないかって思うことは多々ある。全然鬼族っぽくないんだ、あいつは。鬼族特有の力も特別強いわけじゃなかったし、あくまで普通の子だった。…お前となら年齢も近いし、いい友達になれたかもな」