私も、覚悟を決めよう。
「…なら、立ち止まってる暇はありません。妹さんの為にも私を鬼族の所へ連れて行くのでしょう? それに…私からも空砂さんに伝えてみますから」
「は? お前正気か!? っ痛ァ…………」
折成さんは私の言葉に声を荒らげるも、傷口に触ったようで腹部を抑えながら黙り込んだ。
「だ、大丈夫ですか…」
「…これくらい、平気だ…。人間より作りが良いからすぐ治る」
折成さんは深呼吸をすると、小さく舌を打ちつけた。私は視線を前に戻し続ける。
「わかってますよ…ちゃんと。簡単に生贄になるだなんて、もう言いません…。だからお願いがあります。連れて行く代わりに、私と…取引して下さいませんか」
「………」
「私は貴方と、貴方のご家族の為にひとまず鬼族の元へ向かいます。…その代わりに、隙をついて深守達の元へ行ってください。きっと、私さえいれば……空砂さんは里に留まるはずです」
基本、空砂さんの狙いは生贄である私だけだ。今まではある程度簡単に手に入っていた生贄が、周りの妨害によって手に入っていない。だから彼は怒っている。私が空砂さんの傍にいれば満足するだろう。多分…。
「でも、本当にいいのか…?」
「嫌と言っても、連れて行くでしょう…?」
私は折成さんを横目に見やる。図星といった表情を隠し切れずに彼は目を泳がせていた。
「いいんですよ、全然……。だけど、出来れば私が死んでしまう前に皆で助けに来てくれると…嬉しいです。私はこの通り非力ですから。…あ、勿論やれることは頑張ります。大丈夫です。…きっと、なんとかなりますから」
あくまで前向きにいこう。
自分に言い聞かせるように語る。
「本当にすまない…」
折成さんは私から少しだけ距離を置くと深々と頭を下げた。赤い艶やかな髪の毛が、さらさらと流れるように彼の横に落ちていく。なかなか顔を上げずにいる折成さんに、私は上げることを促した。
「せ、折成さん…っいいんです。ほんとに、気にしないでください」
「…恩に着る」折成さんは呟いた。
「そうと決まれば、のんびり歩いているわけにもいきません。折成さんのお怪我の具合にもよりますが…」
自ら抱き上げろと言うのも気が引けたが、私は折成さんのように早く走ることが出来ない。
折成さんは察したのか、申し訳なさそうに私に手を伸ばす。従うように肩に腕を回すと、私を静かに持ち上げた。
「…走るぞ」
「はい」
怪我をしていても尚、かなりの速さで折成さんは駆け始める。大丈夫だろうかと心配になるが、そうは言っていられないのも事実。私もこんな状態の折成さんに条件付きで交渉を持ちかけたのだから、きっと同罪だ。
私達は一刻も早くと先を急いだ。
「…なら、立ち止まってる暇はありません。妹さんの為にも私を鬼族の所へ連れて行くのでしょう? それに…私からも空砂さんに伝えてみますから」
「は? お前正気か!? っ痛ァ…………」
折成さんは私の言葉に声を荒らげるも、傷口に触ったようで腹部を抑えながら黙り込んだ。
「だ、大丈夫ですか…」
「…これくらい、平気だ…。人間より作りが良いからすぐ治る」
折成さんは深呼吸をすると、小さく舌を打ちつけた。私は視線を前に戻し続ける。
「わかってますよ…ちゃんと。簡単に生贄になるだなんて、もう言いません…。だからお願いがあります。連れて行く代わりに、私と…取引して下さいませんか」
「………」
「私は貴方と、貴方のご家族の為にひとまず鬼族の元へ向かいます。…その代わりに、隙をついて深守達の元へ行ってください。きっと、私さえいれば……空砂さんは里に留まるはずです」
基本、空砂さんの狙いは生贄である私だけだ。今まではある程度簡単に手に入っていた生贄が、周りの妨害によって手に入っていない。だから彼は怒っている。私が空砂さんの傍にいれば満足するだろう。多分…。
「でも、本当にいいのか…?」
「嫌と言っても、連れて行くでしょう…?」
私は折成さんを横目に見やる。図星といった表情を隠し切れずに彼は目を泳がせていた。
「いいんですよ、全然……。だけど、出来れば私が死んでしまう前に皆で助けに来てくれると…嬉しいです。私はこの通り非力ですから。…あ、勿論やれることは頑張ります。大丈夫です。…きっと、なんとかなりますから」
あくまで前向きにいこう。
自分に言い聞かせるように語る。
「本当にすまない…」
折成さんは私から少しだけ距離を置くと深々と頭を下げた。赤い艶やかな髪の毛が、さらさらと流れるように彼の横に落ちていく。なかなか顔を上げずにいる折成さんに、私は上げることを促した。
「せ、折成さん…っいいんです。ほんとに、気にしないでください」
「…恩に着る」折成さんは呟いた。
「そうと決まれば、のんびり歩いているわけにもいきません。折成さんのお怪我の具合にもよりますが…」
自ら抱き上げろと言うのも気が引けたが、私は折成さんのように早く走ることが出来ない。
折成さんは察したのか、申し訳なさそうに私に手を伸ばす。従うように肩に腕を回すと、私を静かに持ち上げた。
「…走るぞ」
「はい」
怪我をしていても尚、かなりの速さで折成さんは駆け始める。大丈夫だろうかと心配になるが、そうは言っていられないのも事実。私もこんな状態の折成さんに条件付きで交渉を持ちかけたのだから、きっと同罪だ。
私達は一刻も早くと先を急いだ。

