折成さんは私の目の前にとぼとぼやって来くると、小さく「すまない」と零して唐突に私を抱き締めた。昂枝が目を見開くのが視界に入ったが、私自身が折成さんに持ち上げられ、昂枝の傍から離れていることに気づいた時には何もかも遅かった。
「……っ折成さん!」
「……お前!!」
折成さんは凄まじい速さで駆けると、妖葬班の根城から一瞬にして離れてしまう。せっかく彼らの元に辿り着いたのに、また遠くなってしまった。
「折成さん、さっきのは全部嘘だったんですか? それに、その傷……」
落ちて死ぬのだけはごめんだと、折成さんの肩に腕を回し、必死にしがみつきながら質問をする。何より深守まではいかずとも、かなりの大怪我だ。こんな状態で暴れたら傷口が開いてしまう。
「嘘じゃねぇ…! 嘘じゃねぇけど…。っ俺は、俺は何で………」
少しだけ走る速度を落としながら彼は焦りを見せた。しかし動く事を辞めるわけでもなく、ただひたすらに、自分の感情と行動の違いに混乱しているといった表情だ。
「………折成、さん……。私、まだ死にたくないですよ。……深守達に会えてませんから」
結局、何処にいるのか全く検討もつかなかった。昂枝を置いていってしまったことも心残りだ。
どうせ死ぬのならちゃんとお別れさせて欲しい。
私は大きく息を吸って、ぐっと涙を堪えながら呟く。
「鬼族の所へ連れてってもいいですから…、折成さんが焦っている理由…聞かせてもらえませんか。それに、傷の手当も早くしないと、心配です」
敵であるはずの折成さんにこんな事言うなんてと自分でも思うが、理由がわかった以上、前みたいに泣き喚いたりしている暇などない。早く帰って、深守達を助けて、全部終わらせて皆でゆっくりとお茶を飲みたい。
そこに折成さん達がいるのならその運命も悪くないかもしれない。平和な時間が戻ってくるのなら。私が生きることを望んでくれるのなら。種族分け隔てなく、仲良くなりたいと思っているから。
「…笹野結望」
「……はい。……あ、姓名で呼ばれると…ちょこっとだけ恥ずかしいので、生贄でも何でも楽に呼んでくださると…幸いです」
私は苦笑する。ただ、折成さんとは対照的に冷静過ぎる自分がいることに驚いていた。
折成さんはそんな私を見て溜息をつく。そして、そっと私のことを下ろすと、何から話そうといったように考え始めた。
「………」
「……」
「俺なんか信用できないかもしれないが」
「…そんなことありません」
「……じゃあよ、俺の家族が…人質に取られてるって言っても信用できるか?」
折成さんは私を目の前に見据え、静かに言い放った。
「……っ折成さん!」
「……お前!!」
折成さんは凄まじい速さで駆けると、妖葬班の根城から一瞬にして離れてしまう。せっかく彼らの元に辿り着いたのに、また遠くなってしまった。
「折成さん、さっきのは全部嘘だったんですか? それに、その傷……」
落ちて死ぬのだけはごめんだと、折成さんの肩に腕を回し、必死にしがみつきながら質問をする。何より深守まではいかずとも、かなりの大怪我だ。こんな状態で暴れたら傷口が開いてしまう。
「嘘じゃねぇ…! 嘘じゃねぇけど…。っ俺は、俺は何で………」
少しだけ走る速度を落としながら彼は焦りを見せた。しかし動く事を辞めるわけでもなく、ただひたすらに、自分の感情と行動の違いに混乱しているといった表情だ。
「………折成、さん……。私、まだ死にたくないですよ。……深守達に会えてませんから」
結局、何処にいるのか全く検討もつかなかった。昂枝を置いていってしまったことも心残りだ。
どうせ死ぬのならちゃんとお別れさせて欲しい。
私は大きく息を吸って、ぐっと涙を堪えながら呟く。
「鬼族の所へ連れてってもいいですから…、折成さんが焦っている理由…聞かせてもらえませんか。それに、傷の手当も早くしないと、心配です」
敵であるはずの折成さんにこんな事言うなんてと自分でも思うが、理由がわかった以上、前みたいに泣き喚いたりしている暇などない。早く帰って、深守達を助けて、全部終わらせて皆でゆっくりとお茶を飲みたい。
そこに折成さん達がいるのならその運命も悪くないかもしれない。平和な時間が戻ってくるのなら。私が生きることを望んでくれるのなら。種族分け隔てなく、仲良くなりたいと思っているから。
「…笹野結望」
「……はい。……あ、姓名で呼ばれると…ちょこっとだけ恥ずかしいので、生贄でも何でも楽に呼んでくださると…幸いです」
私は苦笑する。ただ、折成さんとは対照的に冷静過ぎる自分がいることに驚いていた。
折成さんはそんな私を見て溜息をつく。そして、そっと私のことを下ろすと、何から話そうといったように考え始めた。
「………」
「……」
「俺なんか信用できないかもしれないが」
「…そんなことありません」
「……じゃあよ、俺の家族が…人質に取られてるって言っても信用できるか?」
折成さんは私を目の前に見据え、静かに言い放った。

