昂枝は覚悟を決めると、枝から塀へと渡る。手足を駆使しながらするり、と塀の壁に張り付いた。そのまま地に足を踏み入れた。
「やった…!」
声は出さずに喜ぶ。安心したのも束の間、今度は私の番だ。袴と違い、着物で足を広げるのは難しい。少し捲るものの、難航してしまう。
音を立てずにゆっくりと。
「――…っ!?」
そんな時、私は着物の裾を引っ掛けてしまった。しまった! と思った時には遅くそのまま前に倒れ落ちてしまったのだ。
ドサッと音が鳴る。昂枝が守ってくれた為痛みもなく無事だが、非常事態だ。「誰かいるのか」と、班員の声も聞こえてきた。
「………なんだ、誰もいないじゃないか」
不審に思い近づいてきた班員は、松明をかざしながら首を傾げる。彼は欠伸をすると、元いた場所へ戻って行った。
「……行ったか」
昂枝は背後を気にしながら呟く。
私達は塀のすぐ傍に置かれていた木箱の裏に隠れ難を逃れたようだ。
「…………」
腰に手が回っているのも、うっかり声を出さないよう私の口元を手で押さえてくれているのも、鈍臭い私の為を思った昂枝の優しさだ。だけど、こんな時でさえ意識してしまうようになるなんて。
「……っすまない」ぱっと手を離し、深呼吸をする。
「…ううん、ありがとう」
「……あとは、何処の建物か…だな。ただ…」
「ただ…?」
「鍵をどうするか、だな」
「……確かに、そうよね」
考えなかったわけではないが、何も思いつかなかったのは否定出来ない。
硬くて細長いものでもあれば入ったりするのかもしれないけれど、そのようなものが運良く見つかるとも思えなかった。
「兎に角、怪しそうなあの小屋から行くぞ」
そう昂枝が言い立ち上がった時、
「何してるんですか貴方達は…」
「やった…!」
声は出さずに喜ぶ。安心したのも束の間、今度は私の番だ。袴と違い、着物で足を広げるのは難しい。少し捲るものの、難航してしまう。
音を立てずにゆっくりと。
「――…っ!?」
そんな時、私は着物の裾を引っ掛けてしまった。しまった! と思った時には遅くそのまま前に倒れ落ちてしまったのだ。
ドサッと音が鳴る。昂枝が守ってくれた為痛みもなく無事だが、非常事態だ。「誰かいるのか」と、班員の声も聞こえてきた。
「………なんだ、誰もいないじゃないか」
不審に思い近づいてきた班員は、松明をかざしながら首を傾げる。彼は欠伸をすると、元いた場所へ戻って行った。
「……行ったか」
昂枝は背後を気にしながら呟く。
私達は塀のすぐ傍に置かれていた木箱の裏に隠れ難を逃れたようだ。
「…………」
腰に手が回っているのも、うっかり声を出さないよう私の口元を手で押さえてくれているのも、鈍臭い私の為を思った昂枝の優しさだ。だけど、こんな時でさえ意識してしまうようになるなんて。
「……っすまない」ぱっと手を離し、深呼吸をする。
「…ううん、ありがとう」
「……あとは、何処の建物か…だな。ただ…」
「ただ…?」
「鍵をどうするか、だな」
「……確かに、そうよね」
考えなかったわけではないが、何も思いつかなかったのは否定出来ない。
硬くて細長いものでもあれば入ったりするのかもしれないけれど、そのようなものが運良く見つかるとも思えなかった。
「兎に角、怪しそうなあの小屋から行くぞ」
そう昂枝が言い立ち上がった時、
「何してるんですか貴方達は…」

