お茶と妖狐と憩いの場

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 あれから約一ヶ月が経った。
 鬼族の長である羅刹様とその息子である空砂さんの死によって、先導者が居なくなってしまった里は、血を受け継ぐ私を今度は鬼族全体で守る姿勢となった。
 何より、血を途絶えさせる訳にはいかないと、鬼族達は考えていた。
 それに子供を産むことが出来ればこの先も安寧だろう。
 それ故か、亡くなった羅刹様の代わりに、それに近しい存在として立場上振る舞うよう言われている。
 ――とは言ったものの正直産まれて十七年、小さな村の一角で殆どの時を過ごしてきた、しがない存在だ。いきなり鬼族を統べる者の一人になれるとは到底思えなかった。
(そもそも鬼族の為に死ぬ生贄だったし……)
 手のひら返しが早くて、少しだけ怖いような。
 だけど、半分人間では無い私が人里に住み続けるのも難しい話でもある。
 例の一件で海萊さんが先駆けて動いていたらしく、多少は緩和されているものの、今も尚、妖葬班の活動に変わりはなかった。私が鬼族だという事も、きっと村人は耳にしているだろうし、もしくは最初から知っていた可能性も零ではない。
 こればかりは時間を掛けて、人間と妖が手を取り合えるように動いていくしかなかった。
 因みに妖葬班でもある海祢さんはというと、海萊さんと和解し、今では協力関係にあるという。想埜も波柴家に身を寄せて、二人を支えている。
 波柴兄弟が見てくれているのなら、想埜も大丈夫だろう。
 あの海萊さんは自分の罪を認め、変わろうと日々動いてくれていた。とはいえ、向こうの立場からしたらきっと、今までも正しい事はしていたけれど。
 ……していた、よね……?