「儂は羅刹様――鬼族の長である父上と、烏天狗の母上を持つ。それ以上も以下もない」
「は……? 純血じゃないのか?」話を聞いた折成さんも、困惑しながら割って入る。「空砂……さんよ、黙って聞いてりゃ……なんだよ、それ。俺の妹を殺しといて純血じゃなかったのかよ……っ!」
「折成さんっ!」
「ふざけるな! 純血以外認めねぇ素振り見せといて、テメェが純血じゃねぇのかよ……っ!! しかもテメェの身内を殺してたって、なんだよ……意味がわからねぇよ!」
今にも飛び掛りそうな勢いで折成さんは叫んだ。想埜と海祢さんが両脇から抑えるが、“純血”であり、大切な家族の成兎さんを殺された現実は無くならない。膝を折り「クソッ!」と大粒の涙を零す姿に、私はどう声を掛けたら正解なのかわからなくて、慰める事さえ出来なかった。
「それで……、羅刹様のお気持ち聞いて、アンタは……何をしたら満足なんだい」
深守は私の肩を抱きながら問い掛ける。
私達の足元で狐達も行く末を見守っている様だ。
「……儂は」
『……空砂は私と一緒に死ぬのが一番じゃ。お主によって救われたのも事実。じゃが……お主が犯した罪も、私と同様等しく裁かれなくてはならぬ』
「羅刹様……っ」
『――何、今更怖気付いておるのか。人を殺める事、それは何れ自身にも返ってくるものじゃ』
羅刹様はただ、ただ優しく言った。優しく死を促す姿が、反対に恐怖心を煽っている。これなら直接死ねと言われた方がまだ良い方だ。
当事者でなくとも、目の前でこんな事を言われたら足がガクガクと震え出してしまう。それに気づいた深守はすかさず「アタシに引っ付いてなさい」と私を寄りかからせた。
瞠目する空砂さんに耳を傾けず、羅刹様は微笑むだけだ。微笑んでいる、様に見える。
一方で空砂さんは表情は余り変わらなくとも、死に対する脅威から逃れようとしていた。だけど、羅刹様の灰色の気配は空砂さんを離さない。
「……駄目、なのか。これから……罪滅ぼしをしながら生きてゆくという…選択肢は、存在しないというのか」
空砂さんは呟く。
すると、ずっと平伏していた鬼族の上役の一人が顔を上げて「……羅刹様の最後の願いを叶える生贄は空砂様じゃ」と口にするのが聞こえてきた。
「そうじゃ、そうしてしまえば良い。親子じゃからのぅ」
隣に伏せていた鬼族も言った。
凶暴化していた彼らは、どうやら元に戻ったようだった。心臓を撃たれていた為心配していたが、命に別状が無いとわかり安堵する。
「羅刹様と共に死ぬのは空砂様で決まりじゃ」
「これで女子を食わせる必要も無くなる」
「……良い最期では無いか。一つの時代の終わりじゃ」
「は……? 純血じゃないのか?」話を聞いた折成さんも、困惑しながら割って入る。「空砂……さんよ、黙って聞いてりゃ……なんだよ、それ。俺の妹を殺しといて純血じゃなかったのかよ……っ!」
「折成さんっ!」
「ふざけるな! 純血以外認めねぇ素振り見せといて、テメェが純血じゃねぇのかよ……っ!! しかもテメェの身内を殺してたって、なんだよ……意味がわからねぇよ!」
今にも飛び掛りそうな勢いで折成さんは叫んだ。想埜と海祢さんが両脇から抑えるが、“純血”であり、大切な家族の成兎さんを殺された現実は無くならない。膝を折り「クソッ!」と大粒の涙を零す姿に、私はどう声を掛けたら正解なのかわからなくて、慰める事さえ出来なかった。
「それで……、羅刹様のお気持ち聞いて、アンタは……何をしたら満足なんだい」
深守は私の肩を抱きながら問い掛ける。
私達の足元で狐達も行く末を見守っている様だ。
「……儂は」
『……空砂は私と一緒に死ぬのが一番じゃ。お主によって救われたのも事実。じゃが……お主が犯した罪も、私と同様等しく裁かれなくてはならぬ』
「羅刹様……っ」
『――何、今更怖気付いておるのか。人を殺める事、それは何れ自身にも返ってくるものじゃ』
羅刹様はただ、ただ優しく言った。優しく死を促す姿が、反対に恐怖心を煽っている。これなら直接死ねと言われた方がまだ良い方だ。
当事者でなくとも、目の前でこんな事を言われたら足がガクガクと震え出してしまう。それに気づいた深守はすかさず「アタシに引っ付いてなさい」と私を寄りかからせた。
瞠目する空砂さんに耳を傾けず、羅刹様は微笑むだけだ。微笑んでいる、様に見える。
一方で空砂さんは表情は余り変わらなくとも、死に対する脅威から逃れようとしていた。だけど、羅刹様の灰色の気配は空砂さんを離さない。
「……駄目、なのか。これから……罪滅ぼしをしながら生きてゆくという…選択肢は、存在しないというのか」
空砂さんは呟く。
すると、ずっと平伏していた鬼族の上役の一人が顔を上げて「……羅刹様の最後の願いを叶える生贄は空砂様じゃ」と口にするのが聞こえてきた。
「そうじゃ、そうしてしまえば良い。親子じゃからのぅ」
隣に伏せていた鬼族も言った。
凶暴化していた彼らは、どうやら元に戻ったようだった。心臓を撃たれていた為心配していたが、命に別状が無いとわかり安堵する。
「羅刹様と共に死ぬのは空砂様で決まりじゃ」
「これで女子を食わせる必要も無くなる」
「……良い最期では無いか。一つの時代の終わりじゃ」

