ずしりとした短刀の重さと使命に、私は狼狽えてしまう。目の前に最愛の母がいるというのに断ち切らねばならないなんて。
「結望、私は愛していますよ。ずっと、ずっと……だから、安心して行くのです」
紀江は最後の機会だと言わんばかりに結望を抱き締める。そんな事を言われたら、尚のことやり辛い。私は流れる涙を止めることが出来なかった。
二人は立ち上がる。正面でにこやかに微笑む紀江は、まだ子供っぽさが残っている様に思えた。実の母親に対してそんな事思っていいのかはわからないけれど、大切にしたいと、愛おしさに包まれた。
「さぁ、何も恐れる事はありません。元の世界へ戻りましょう」
紀江は私の両手を握ると、短刀を自分の方へ向ける。結望へ罪悪感を抱かせない為に、また、自分自身も我が子へ踏ん切りをつける為に構えた。
「お母様……お話出来て良かったです。私も、お母様の事を愛しています」
「ふふふっ嬉しい。……貴女が私の子で良かった」
紀江はそう言うと、自ら手を動かし腹部へ刺した。夢のはずなのに肉に食い込む感覚を覚え、私は目をぎゅっと閉じる。
その瞬間、私達二人を中心に光が溢れ出した。
驚いて紀江を見ようとするが、あまりの眩しさに思うようにいかない。そうしている間にも、紀江の温もりがどんどん無くなっていく。
私は必死に手を伸ばし続ける。
その時、「――……た、い……」紀江の声では無い、男性の声のような呻き声が一瞬だけ聞こえた気がした。
「――さま、お母様……っ!」
私は手を伸ばしたまま叫んだ。
「結望……っ!!」
勢い良く抱き締められ、私はハッとする。
お母様じゃない、けれど、それは間違いなく自分が求めていた温もりだった。
「し、深守……っ」
「あぁ、結望……良かった、良かった……もう大丈夫よ」
深守は安堵しながら言う。
私の頬を大きな手が包んだ。
「結望、私は愛していますよ。ずっと、ずっと……だから、安心して行くのです」
紀江は最後の機会だと言わんばかりに結望を抱き締める。そんな事を言われたら、尚のことやり辛い。私は流れる涙を止めることが出来なかった。
二人は立ち上がる。正面でにこやかに微笑む紀江は、まだ子供っぽさが残っている様に思えた。実の母親に対してそんな事思っていいのかはわからないけれど、大切にしたいと、愛おしさに包まれた。
「さぁ、何も恐れる事はありません。元の世界へ戻りましょう」
紀江は私の両手を握ると、短刀を自分の方へ向ける。結望へ罪悪感を抱かせない為に、また、自分自身も我が子へ踏ん切りをつける為に構えた。
「お母様……お話出来て良かったです。私も、お母様の事を愛しています」
「ふふふっ嬉しい。……貴女が私の子で良かった」
紀江はそう言うと、自ら手を動かし腹部へ刺した。夢のはずなのに肉に食い込む感覚を覚え、私は目をぎゅっと閉じる。
その瞬間、私達二人を中心に光が溢れ出した。
驚いて紀江を見ようとするが、あまりの眩しさに思うようにいかない。そうしている間にも、紀江の温もりがどんどん無くなっていく。
私は必死に手を伸ばし続ける。
その時、「――……た、い……」紀江の声では無い、男性の声のような呻き声が一瞬だけ聞こえた気がした。
「――さま、お母様……っ!」
私は手を伸ばしたまま叫んだ。
「結望……っ!!」
勢い良く抱き締められ、私はハッとする。
お母様じゃない、けれど、それは間違いなく自分が求めていた温もりだった。
「し、深守……っ」
「あぁ、結望……良かった、良かった……もう大丈夫よ」
深守は安堵しながら言う。
私の頬を大きな手が包んだ。

