「カレン、笑って。頼むよ……」
胸が痛くなるほど苦しそうな、震える声。
涙声に近い。
わたしの髪をゆっくりゆっくり撫でる。
感情にまかせて怒ってしまった小さい子供に親がするような、慎重で丁寧で、ほんの少しの媚を含んだ愛情に溢れている行為……。
愛情? 愛情?
それは可笑しいよね。
だってわたしは、セイジにとって上司だもん。
でも上司と部下はこんなことは、しないよね。
$10000000契約の代償をわたしはモトムラじゃなく、セイジに払ったの?
そういうことなの?
じゃあ、この優しすぎる手はなに?
「帰らなくちゃ」
「無理だよ。こんな気持ちのまま帰せない。絶対に帰せない」

